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未知の輪郭

失踪・神隠し / 未解決事件

作りかけの食事だけが残った 広島の一家失踪と、神隠しと呼ばれてきた土地。

文=林 遼

千葉県市川市の市街地のど真ん中に、小さな竹林があります。八幡の藪知らず。一度入ったら二度と出てこられないと昔から言われ、禁足地のように扱われてきた場所です。広辞苑にも、出口が分からないことの例えとして載っているといいます。神隠しは遠い山奥の昔話ではなく、駅前の景色のすぐ隣にも居場所を持っている——動画はそんな入り口から、実際に起きた失踪の記録をたどっていきます。

動機の見つからない失踪——広島の一家

2001年6月。広島県のある町で、父、母、祖母、娘の4人と飼い犬が、ある夜を境に家から消えました。発覚のきっかけは、社員旅行で中国へ発つはずだった母親が集合時間に現れなかったことです。心配した同僚が訪ねると、家の電気はついたまま。警察を呼んで中へ入ると、台所には作りかけの食事が残されていました。争った跡も、血の跡もありません。

機動隊とヘリコプターを動員した捜索でも見つからず、4人と犬が発見されたのは1年以上あとのことでした。渇水で水位の下がったダムの底、家から10km離れた場所です。警察は無理心中と結論づけましたが、その動機がどうしても見当たりません。 母親は海外旅行を楽しみにしていました。26歳で小学校の教師だった娘には、結婚間近の恋人がいました。近所付き合いも良好で、借金も家庭内のトラブルも見当たらない。遺体はパジャマとサンダル姿だったと語られています。そして一家の家の近くには、古くから神隠しの言い伝えのある山がありました。その山の持ち主は、消えた家族の先祖だったそうです。

消える土地は、日本だけではない

アメリカ・バーモント州のグラストンベリー山の周辺も、人が消える土地として知られています。事件が起きるずっと前、何百年も昔から、地元の先住民が近づくなと避けてきた場所でした。あの山には人を飲み込む呪われた石があり、うっかり踏んだ者は二度と戻れない——そう言い伝えられてきたといいます。

1945年からの5年間に、ここで5人が行方不明になりました。狩りのベテランが、仲間と数分はぐれた隙に。目立つ赤い服を着た女子大生が、1000人以上の捜索と多額の懸賞金にもかかわらず手がかりを残さずに。68歳の元軍人は、走行中のバスの中から消えました。最後のバス停まで座席で眠っていたのを見た気がする、という証言があり、目的地に着いたとき、その席には荷物と開いたままの時刻表だけが残されていたそうです。翌年には8歳の男の子が、母親のすぐそばで、一瞬目を離した隙に。警察犬がたどった匂いは、あの老人がバスから消えた区間で途切れました。 唯一遺体で見つかった5人目は、一度徹底的に捜索し終えたはずの場所から出てきています。消えた少年の父親は、あの子は山のことばかり話していた、と語り残しました。

帰ってきた人たちが語ったこと

神隠しには天狗隠しという別名もあります。とりわけ長野県は天狗信仰の根強い土地で、山では天狗が子どもをさらうという言い伝えが残ってきました。天狗はサバが嫌いなので「サバサバ」と唱えれば逃げていく、という対策まで伝わっているそうです。

江戸時代、7歳で行方不明になった少年が、数年後にふらりと町へ帰ってきました。天狗の世界で過ごしていた、というのが本人の説明です。消える前、老人が小さな壺の中へするりと入っていくのを見た。自分も同じように入ってみたら、長野にいたはずが茨城まで飛んでいた。それからは毎日そこへ通い、武術やまじない、護符の書き方を習っていたのだと。多くの大人は嘘だと退けましたが、平田という国学者だけが少年を自宅に住まわせ、異界のこと、宇宙のこと、地震の原因まで、1冊の本ができるほど質問を重ねました。少年は行ったこともない土地の様子を細部まですらすらと語り、その土地を知る人がその内容を認めたといいます。

もうひとつ、脱いだ草履だけを残して消えた若い娘の話があります。30年後、親戚が集まっていた家に、一人の老婆がふらりと現れました。「もうすぐ来るよ」とだけ言って帰っていったその人が、あの娘だったのではないか——家族しか知らない細かいことを尋ね、家族はそう確信します。どこにいたのかと聞かれた老婆は、みんなに会いたくなったから来た、と答えたきりでした。現れたのは風の強い日で、それ以来この村では、風の強い日をあの人が帰ってきそうな日、と呼ぶようになったそうです。

海でも、そして今も

1900年12月、スコットランド沖の島に建てられたばかりの灯台で、3人の灯台守が消えました。うち1人は20年以上のベテランです。沖を通りかかった船が明かりの消えた灯台に気づき、数日後、交代要員を乗せた船が上陸すると、3人の姿がありません。食べかけの食事が残り、日誌には嵐が怖いと書き残されていた、という情報が伝わります。当時は巨大な波にさらわれたのだろうと結論づけられましたが、その時期に大きな波が来た記録は特にないのだそうです。

そして現在。日本で1年間に警察へ出される行方不明者の届出は、およそ8万人。ひとつの地方都市の人口が、毎年まるごと消えていく規模です。見つかる人もいれば、手がかりの残らない失踪もある。監視カメラがこれだけ増えても、この数は減っていません。

視聴者の反応

  • ホントみょんはお話の仕方が上手ですね とても聞きやすい声話し方

    高評価 60

  • 広島の一家失踪事件は無理心中で処理されましたが謎が残る事件ですね

    高評価 19

  • 神隠しって本当に不思議ですよね! おばあさんになって一度帰って来た娘さんにどうしていたのか事細かに聞いてほしかったです! すごく気になります!

    高評価 18

  • 「八幡の藪知らず」は竹🎍の伐採が行なわれた時に当時いわれていた所とと今の場所が違うのは記憶しています ですが 現代のあの場所で 不思議な事件が起きている事は事実ですね😨 誰かが世界線を動かしたのか?🤔

    高評価 13

  • コヤッキーさん、今日もお疲れ様です

    高評価 11

この説をたどる

並べていくと、人が消えた場所にはたいてい、先に言い伝えのほうがあります。近づくなと避けられてきた山、出口が分からないと恐れられてきた竹林。順序は逆かもしれません。人が消えたから土地に名前がついたのか、名前のついた土地だから消えたことになったのか。どちらであっても、残るのは同じ形をした空白です。作りかけの食事、座席に開いたままの時刻表、脱いだままの草履。持ち主のいない日常が、そこだけ止まっている。最後の二つには家庭の事情という普通の説明がありそうだ、という断りも動画のほうから添えられます。それでも毎年8万人という数字を並べて置かれると、この空白は昔話の中だけのものではなくなります。あなたの町の言い伝えは、どの場所を避けろと言っているでしょうか。

動画を見る

秘密結社コヤミナティ

動画の見どころ

  1. 千葉県市川市の市街地のど真ん中にある八幡の藪知らずは、一度入ると出てこられないと言われ、広辞苑にも出口が分からないことの例えとして載っていると紹介される。

  2. 2001年6月に広島県で一家4人と犬が消え、台所に作りかけの食事が残されていた。1年以上後にダムの底で見つかり無理心中と結論づけられたが、動機がないと指摘される。

  3. 一家の家の近くには古くから神隠しの言い伝えがある山があり、その山の持ち主が消えた家族の先祖だったため、地元では本当に神隠しが起きたと騒ぎになったと語られる。

  4. 人を飲み込む呪われた石という先住民の言い伝えが残るベニントン・トライアングルで、1945年からの5年間に5人が行方不明になったと紹介される。

  5. 68歳の元軍人が走行中のバスから消えて座席に荷物と開いたままの時刻表だけが残り、翌年に消えた8歳の男の子を追った警察犬の匂いも同じ区間で途切れたと語られる。

  6. 江戸時代に消えた7歳の少年は、老人が小さな壺へするりと入るのを見て自分も入ったところ長野から茨城まで飛んでいた、と帰還後に語ったとされる。

  7. 脱いだ草履だけを残して消えた娘が30年後に老婆となって現れ、家族しか知らない細かいことを尋ねたことで本人だと確信されたという話が語られる。

  8. 1900年12月にスコットランド沖の灯台から3人の灯台守が消え、食べかけの食事と日誌が残されたが、巨大な波という結論を裏づける記録はないと語られる。

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