ネット怪談 / ホラー創作・考察
Backroomsはなぜ落ち着かないのか ザルカがたどる無人空間と迷宮の民俗。

見覚えはあるのに、どこかがずれている。人のいない場所を延々と歩くBackroomsの不安は、怪物に追われることだけから生まれるのではない。Monstrumのエミリー・ザルカは、この共同創作を、現実とネットの境目に広がるリミナルスペースとして読み解く。
ゲームで物体を通り抜けるノークリッピングを現実へ移し、帰り道のない異界への入口にした設定が説明される。
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一枚の部屋の写真から、帰れない場所が生まれる
発端としてたどられるのは、2018年に匿名で投稿された一枚の写真だ。翌2019年、再投稿された写真に、現実をすり抜けて別の場所へ落ちるという物語が重なる。何の変哲もない部屋は、ここで入口を持つ異界へ変わったという。
その入り方を表すノークリッピングは、ゲームの中で固い物体を通り抜ける操作に由来する。画面の向こうで起きるはずのすり抜けを現実へ持ち出すことで、日常の床や壁も頼りなくなる。Backroomsの設定では、通り抜けた先から簡単に戻ることはできない。
共同創作のため、空間の姿も一つには定まらない。無限に広がる一層、ほとんど果てのない三層、さらに際限なく階層が増える世界へと、出口のなさは違う形を取る。ザルカの整理では、この三つが大きな系統になる。
古い民俗の境界や迷宮からBackroomsへ視点を移し、ネットと現実をまたぐデジタルの迷宮という解釈に至る。
無人の空港が日常になり、ネットの異界と重なる
感染症の流行下には、空港やレストラン、オフィスから人が消えた。かつてネットの中で見ていた不気味な空間に、現実の風景が近づいたのである。ロックダウン中に増えたネット利用とともに、この感覚がゲームや短編、映像へ広がったという筋道が示される。
2022年にはケイン・パーソンズがBackroomsの映像シリーズを発表し、2023年にはA24との映画契約へ進んだ。匿名の写真から始まった世界は、参加者の手で別の形式へ枝を伸ばしていく。
異界へ入った人間が招かれざる存在となり、通路の怪物には心の隅に潜む恐怖が姿を得るという読みが示される。
境界を越えるのは人間、怪物は心の奥から現れる
ザルカが重ねるのは、境界や迷宮を異界への移行と結び付けてきた古い民俗だ。Backroomsもまた、現実とネットの間を歩き、自分の内側へ入り込むデジタルの迷宮と捉えられる。そこでは空間を移動する行為そのものが、人を変えてしまう。
この世界で境界を越えてきた侵入者は、人間の側なのだ。 そして通路の向こうにいる怪物には、避けたい葛藤や心の隅に潜む恐怖が姿を得るという。誰もいないことが落ち着かないからこそ、そこに何かを置いてしまう。帰り道の見えない場所は、人が自分自身を探る場所にもなる。
視聴者の反応
「I love the term “digital folklore”. What a great term for internet-age culture.」
高評価 1,811
「I appreciate this team taking on a modern ~weird~ phenomenon.」
高評価 514
「"Hell is other people" And sometimes, so is the search for other people.」
高評価 498
「I love that this show traces folklore across the ages, pointing out all the interconnected bits along the way.」
高評価 476
「I just realized watching this that you never did a video on haunted houses or on graveyards! Those would be really good topics for videos!」
高評価 207
編集部から
最初の無人の部屋を、後半の「人間こそ侵入者」という視点からもう一度眺めてみたい。置き去りにされたような空間が、今度はこちらの存在を拒んでいるようにも見えてくる。
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Storied
動画の見どころ
2018年の匿名の写真投稿に、翌年は現実をすり抜ける物語が加わり、Backroomsの設定が育ったとたどる。
ゲームで物体を通り抜けるノークリッピングを現実へ移し、帰り道のない異界への入口にした設定が説明される。
ロックダウン下の無人の空港やオフィスが異界の風景と重なり、映像や物語が広がったという見方が示される。
無限に広い一層、三層、無限の階層という三系統が示され、共同創作には一つの決まった地図がないと分かる。
古い民俗の境界や迷宮からBackroomsへ視点を移し、ネットと現実をまたぐデジタルの迷宮という解釈に至る。
異界へ入った人間が招かれざる存在となり、通路の怪物には心の隅に潜む恐怖が姿を得るという読みが示される。
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