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未知の輪郭

アメリカ / 英語

Oakburn Opusの笛吹き男は何者か 1043人が消えた町と双子の紋章をたどる。

文=B.nakamura

1997年10月、Old Oakburnという町から住民1043人が一夜で消えた。YouTubeチャンネルRed Diamondが公開する連作『Oakburn Opus』は、そこから始まる。動画の語り手はこれを、カルトもフォークロアもラヴクラフト風の恐怖も殺人ミステリーも横断する、独創的なホラー企画だと評価する。公開済みのパートを順にたどりながら、消失の背後にある系譜を組み上げていくのがこの回だ。

町へ来た笛吹き男と、湖で赤く光る印章

始まりは霧の深い朝だった。深手を負ったよそ者が門の前へ倒れ込み、町の人々が彼を迎え入れる——少女Ashleyの日記には、その日がそう書き残されている。黒いマントを脱いだ男がフルートを取り出すと、人々は夜から朝まで踊り、病人までもが癒やされたという。頭に角を持つこの笛吹き男(Flutist)は、そうやって町の信頼を得ていったと語られる。

数百人が湖畔へ集まった演奏の最中、記念碑に刻まれた印が赤く光り、赤い靄が脈打ちはじめる。歓声は一瞬で静まり、翌朝には1043人が町から消えていた。円の中に九つの逆三角形を並べたこの記号を、動画はFlutistの印章とみなし、人々をOakburn湖へ導く標識として働いたと読む。子どもを連れ去る中世ドイツのハーメルンの笛吹き男伝説との重なりも、背景に流れる映像から指摘される。ただし、この神隠しを起こした笛吹き男でさえ、もっと古い何かの一部にすぎないというのが動画の見立てだ。

1852年生まれの双子と、二度なぞられた契約

物語が大きく動くのは、Marthaという女性が湖の底へ続く地下墓所を降りていく場面だ。そこで開かれた本が、彼女自身へ語りかける。「我を見よ、我が方を向け。汝は兄弟の口を通して蛇が語るのを聞くだろう」。暗闇に立っていたのは、毛皮ではなく鱗と魚の特徴に覆われたMarvasの姿だった。動画はこれを力の獣ではなく呪いの現れと読み、彼自身もまた水没した都市に閉じ込められていると解釈する。

本のページが明かすのは、Marthaと双子の兄弟が1852年に生まれ、兄が1897年に死んだ一方、彼女だけが150年以上生き続けてきたという経歴だ。湖で溺れた妹を取り戻すため、兄は自分の命を差し出す取引をしたのだという。その同じ年、Oakburnの町が「Dies irae(怒りの日)」を標語として設立されている。さらに古い記録もある。1864年にニーダーザクセンで書かれた教授の証言は、川で双子を失った母がヴェーザー川のほとりで蛇と契約し、子供たちを取り戻した経緯を伝える。同じ筋書きが、母と兄で二度なぞられているわけだ。

湖へ呼ばれた父親と、書き換えられた記録

三つ目の軸が、Anthony Carterという男の話だ。1997年の失踪で妻と娘を失い、当日たまたま町にいなかった彼は、おそらく唯一の生き残りの町民だという。玄関先に置かれた無署名の手紙とVHSテープをきっかけに、彼は屋根裏へ祭壇を築き、床へ紋章を描いて儀式を始める。「報復は求めない。私の命は好きにしていい、子供だけは解放してくれ」。応じたMarvasは、肉体を捨てて器となれば家族と共に眠れる、父としての償いの機会を与えると持ちかける。

ここで前のパートと線がつながる。Part Twoで兄弟殺しを自白した身元不明の男John Doeは、Carter本人だった。事件のあと、Marthaは報告書に「兄弟は溺れて沈んだ」と記し、Carterについても自ら命を絶ったとして記録を書き換えている。画面には赤い文字が浮かぶ。「子羊は狼を恐れない。狼はみな溺れた。だが実際に溺れたのは一匹だけだった」。実際に湖で溺れたのはMartha自身だけだ、という当てこすりとして動画はこれを読む。

名前が指す先——マルシュアスと九つの円

締めくくりに置かれるのが、名前をめぐる読み解きだ。Marvasという響きは、ギリシャ神話のフルートの名手マルシュアスを呼び起こす。アテナが捨てた笛を拾い、アポロンへ挑んで敗れ、生きたまま皮を剥がれて最後は川へ流された半人半獣——予告編の冒頭には、その神話の要約が実際に置かれていたという。だとすれば、蛇が語る「我が肺の皮を剥ぐ者たちへ叫ぶ」という一節も、同じ神話を指していることになる。オカルトの図像として読めば、九つという数は終わりやサイクルを示し、ダンテの地獄篇の九つの圏をも思わせる。残る2作でどこまで明かされるのかは、まだ分からない。

視聴者の反応

  • oakburn? yeah thats how fireplaces work

    高評価 18,609

  • HIS WIFE HAD THEIR BABY. OUR ICEBERG BOY IS OFFICIALLY AN ICEBERG MAN. GOD BLESS YOU AND YOURS ISAIAH 🙏

    高評価 11,610

  • Wendi this is the sixth time this week youve showed us the best horror series we've never seen

    高評価 7,737

  • people don't like math so much they create horror stories about geometry attacking humans

    高評価 6,421

  • You can’t ignore House Of Leaves forever papa Wendi

    高評価 4,431

この説をたどる

湖のほとりの一枚岩に刻まれた印章から始まった手がかりは、地下の墓所、150年を生きた双子、そして川辺で交わされた契約へと伸びていく。母が子を取り戻すために誓い、その半世紀後に兄が同じ取引をなぞったのだとすれば、Oakburnという町が「怒りの日」を標語に据えて建てられたことの意味も変わってくる。人を湖へ呼ぶ旋律、九つ並ぶ三角形、皮を剥がれた者の名前——別々に置かれていた点が一本の線に見えてくるほど、その線の先にいる「蛇」の輪郭は濃くなっていく。残る2作でどこまで届くのかを、動画は待ちながら追いかけている。

動画を見る

Wendigoon

動画の見どころ

  1. シリーズの前日譚『Circle』では、1986年12月のアラスカの町Atoskに円が近づき、円が現れるたび町は避難し、拒んだ者は二度と目撃されないとEthan Astorが語る。

  2. 頭に角を持つ笛吹き男(Flutist)が寒い朝にOld Oakburnへ現れ、住民が食料と住居を与えるうちに、子どもも大人もフルートの音へ惹き込まれていったと写本が伝える。

  3. 1997年、数百人がOakburn湖畔へ集まった演奏の最中に記念碑の印が赤く光り、赤い靄が脈打ち始める。画面には「特定し、解釈し、音楽に身を任せろ」という言葉が重なる。

  4. カセットテープでは悲鳴が一瞬で静寂へ変わり、翌朝までにOld Oakburnの住民1043人が姿を消し、Flutist自身も行方不明になったと記録される。

  5. 地下墓所の暗闇に立つMarvasの姿が初めて映り、遠目にはヤギ男に見えていた体が、毛皮ではなく鱗と魚のような頭に覆われていたことが分かる。

  6. 本のページで、Marthaと双子の兄弟が1852年生まれ、兄が1897年に死去した一方Marthaは150年以上生き続け、同じ1897年にOakburnが「怒りの日」を標語に設立されたと示される。

  7. 妻子を失ったCarterが屋根裏に祭壇を築き、床へ紋章を描いて「報復は求めない、私の命は好きにしていいから子供を解放してくれ」と祈ると、背後の紋章が炎を上げる。

  8. Part Three「少年と銃」で、Part Twoで兄弟殺しを自白した身元不明の男John Doeが、山で5日間さまよったAnthony Carter本人だったと明かされる。

  9. Marvasの名の由来として、アテナが捨てた笛を拾いアポロンへ挑んで敗れ、生きたまま皮を剥がれて川へ流されたマルシュアスの神話が紹介される。

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