失踪・神隠し / 未解決事件
足跡の無い雪、空港に置かれたパスポート モーラ・マーレイら3人が残していったもの。

雪の吹き溜まりに、サターンのセダンが逆向きで刺さっている。2004年2月9日、ニューハンプシャー州の山道。ボンネットはひしゃげ、潰れたラジエーターから蒸気が上がっている。
最初に通報した近隣の女性は、車の中に人がいたと言った。男が、タバコを吸っていた、と。
19分後、警官がその車の横に立つ。ドアは施錠されている。車内は赤い染みだらけだが、血ではない。ワインだ。教科書、衣類、その日買った酒、父親の事故の書類。手袋は座席に残っている。座席の間には一冊の本が挟まっていた。彼女が走っていたのと同じ山域で、150年のあいだに起きた遭難を集めた記録だった。
車の持ち主、モーラ・マーレイだけがいない。一帯は2フィートの雪に覆われている。足跡は、一つも無い。。
出発の前に、彼女は自分の生活を箱に詰めた
その日の午後1時、彼女は教授たちと職場の上司へメールを送っている。家族に不幸があり1週間ほど家へ帰る、と。だが家族に不幸は無かった。父も母も存命で、きょうだいも無事だった。誰も疑わなかったその嘘が、1週間の空白をつくった。
それから荷造りを始めた。1週間分ではない。持ち物すべてを箱に詰め、寮の部屋の真ん中に積んで封をし、そのまま置いて出た。
3時15分、ATMで280ドル。口座のほぼ全額だった。3時40分、隣町の酒屋。パーティーができるほどの量の酒を、店の映像では一人で買っている。4時37分に留守番電話を確認したのが、携帯に記録された最後の操作だ。
7時27分、最寄りの農家からの911。7時42分、通りかかったスクールバスの運転手からの2本目。7時46分、警官が到着。警察犬は東へ100ヤード追って止まった。匂いは道の真ん中で消えていた。
22年が過ぎた。車の中でタバコを吸っていた男が誰かは、いまも特定されていない。父親は事件記録の開示を求めて州の最高裁まで争い、敗訴した。家族は全記録をまだ見ていない。
空港のカメラが、突然走り出す男を捉えている
2014年7月8日、ブルガリアのヴァルナ空港。黄色いシャツの男が、バックパックとダッフルバッグを持ってターミナルに入る。
前夜、彼は母親に電話をかけていた。ささやき声だった。ホテルが安全に感じられない、4人の男につけられている、殺されるかもしれない。母親は電話越しに息子の心臓の音が聞こえたという。
空港の医務室で、医師は耳を診て、飛行機に乗って問題ないと告げた。だが彼は部屋を出たがらなかった。処方された薬を信用できない、と繰り返したという。
そこへ工事の作業員が入ってくる。空港は改修中で、作業員の出入りは日常だった。反応したのは彼だけだった。震え始め、「ここで死にたくない。ここから出なければ」と言い、走り出した。
カメラがすべてを捉えている。チェックインカウンターの脇を抜け、旅行者の間を抜け、正面の扉から外へ。落ち着いてターミナルに入ってから全力で走り出るまで、およそ30分。
敷地の端にある有刺鉄線付きのフェンスを、彼は越えた。パスポートも携帯も財布も、医務室に置いたままだった。 フェンスの向こうはヒマワリ畑で、7月には人の背丈より高くなる。
ブルガリア警察は畑も道路も森も捜索した。何も出なかった。ドイツ連邦刑事庁は彼を行方不明者として登録し、報道で75件の情報が寄せられたが、どれもつながらなかった。母親はいまもサイトを運営し、息子は生きていて記憶を失っているのだと信じている。
ラース・ミッタンクは、あのヒマワリ畑から出てこない。あれから12回目の7月が過ぎた。
洗濯機に制服、椅子にブレザー、そして片道切符
2007年9月の金曜、イングランド北部。14歳の少年が制服のまま家を出て、いつものバス停へ向かった。彼は一度も学校を休んだことが無かった。その日はバスに乗らなかった。
8時20分、近くの公園のベンチに一人で座っているところを、家族の知人が見かけている。家族が家を出るのを待っていた。
家族が出たあと、彼は戻った。制服を脱いで洗濯機に入れ、ブレザーを椅子の背に掛ける。放課後に毎日していたことと同じ順番で。部屋を覗いた人は、いつも通りの時間に帰ってきたと思うはずだった。
黒いTシャツと黒いジーンズに着替え、バンドのワッペンだらけの鞄に、財布と鍵と携帯ゲーム機だけを入れた。9時8分、200ポンドを引き出す。9時22分、ロンドン行きの片道切符。窓口の係員はほぼ同額で往復にできると勧めたが、彼は断った。
11時25分、キングス・クロスの正面口。防犯カメラが、街へ出ていく彼を捉えている。そこから先が無い。カメラも、確認された目撃も。
アンドリュー・ゴスデンは携帯を持たず、メールアドレスもSNSも無く、支払いはすべて現金だった。追える線が一本も無い。誕生日にもらった100ポンドも、パスポートも、持って出た携帯ゲーム機の充電器さえ、部屋に置いたままだった。上着も持っていない。
計画されていた。ただし、帰らないつもりの計画には見えない。
失踪から11年後、あるチャットルームに男が現れた。恋人に出ていかれ家賃が要る、と見知らぬ相手に助けを求めている。名乗ったのは「Andy Roo」。家族が彼を呼んでいた愛称だった。いくら要るのかと訊かれ、男は200ポンドと答え、ログオフしてそれきり戻らなかった。
進行役は最後にこう言う。これは検証も分析もしないキャンプファイヤー・ストーリーで、しかも実話の未解決事件だ、と。
視聴者の反応
「Every single time a new episode drops, it reminds me of being a kid in the 90s when new episodes of my favorite shows would drop. Love this channel.」
高評価 1,568
「Delete Me sponsoring this is diabolical」
高評価 1,064
「Thanks for keeping the Unsolved Mysteries vibe alive.」
高評価 661
「10,500+ cameras in London in Sept of 2007, and they couldn't track the kid past the exit of the train station? great use of mass surveillance.」
高評価 478
「0:40 I live about a mile from where her car was found its still talked about here.」
高評価 345
編集部から
3件に共通するのは、消えた本人よりも残されたものの側がはっきりしていることだ。座席の手袋、医務室のパスポート、椅子に掛けられたブレザー——どれも、すぐ戻ってくるつもりの人の置き方に見える。
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The Why Files
動画の見どころ
施錠された車内に手袋も酒も教科書も残っていたのに本人だけがおらず、2フィートの雪に足跡が一つも無かったことが示される。最初の通報から19分の出来事だった。
失踪の当日、彼女は「家族に不幸があった」という嘘のメールを教授と上司に送り、持ち物すべてを箱に詰めて寮に置いたまま出ていったと語られる。
スクールバスの運転手が助けを申し出ると彼女はAAAを呼んだと断ったが、その場所は携帯が通じず誰にも電話できなかったはずだと運転手は知っていた。
父親が事件記録の開示を求めて州の最高裁まで争って敗訴し、22年経っても家族は全記録を見ていない。州はいまも失踪を「不審」と分類している。
空港の医務室に工事の作業員が入ってきた瞬間、彼だけが震え始め「ここで死にたくない」と言って走り出す。カメラがその一部始終を捉えている。
有刺鉄線付きのフェンスを越えた先は7月に人の背丈を超えるヒマワリ畑で、パスポートも携帯も財布も医務室に置いたままだったと語られる。
14歳の少年は家族が出るのを公園で待ち、戻って制服を洗濯機に入れブレザーを椅子に掛けてから、財布と鍵とゲーム機だけを持って駅へ向かった。
失踪から11年後、チャットルームに「Andy Roo」と名乗る男が現れ200ポンドの助けを求めてログオフした話が、確認されないまま置かれる。
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