UFO・UAP / アメリカ
ニミッツ艦隊が1週間追った「Tic Tac」 証言は鮮明で、映像だけがぼやけている。

無音の白黒映像。ぼやけた点がひとつ、特徴の無い背景の上を漂っている。2007年初め、UFO系フォーラム「Above Top Secret」に投稿されたその映像を、投稿者はメキシコ沖で円盤状のUFOが戦闘機を出し抜いたものだと説明した。米空母から持ち出した、機密かもしれない素材だという。
反応は冷ややかだった。ドイツの映画学生グループのサイトに置かれていたことからハッタリを疑う声が出て、本物だと考える者ですら、ぼやけた点しか写らないつまらない映像だと不満を述べた。
10年余りが過ぎて、その映像がニューヨーク・タイムズの記事に現れる。政府出資の秘密計画と結び付けられ、信頼できる目撃者の証言が添えられていた。やがて国防総省が、これらは未確認航空現象を伴う実際の出来事だと公式に認める。
レーダーが先に、目が後から
2004年11月、空母USSニミッツの打撃群はサンディエゴの南西100キロほどで展開前訓練をしていた。10日ごろから、巡洋艦USSプリンストンのレーダーに、既知の航空機に似ない航跡が5〜10個ずつ散発的に現れる。不具合を疑ってSPY-1レーダーを止め、較正し直した。戻すと、航跡はより鮮明になっていた。
18年の経験を持つ上級上等兵曹ケビン・デイは、それらが奇妙な機動と物理法則に反する機動を交互に見せるのを観測したと語る。鳥にしては高すぎ、航空機にしては遅すぎ、民間の航路にも乗っていない。宇宙から降りてきて、数秒で海面まで落ちることもあったという。乗員は艦橋へ駆け上がり、高倍率の双眼鏡で、遠くの小さな点が不規則に動くのを眺めた。
11月14日の朝、指示を受けて向かったダグラス・カース中佐は、センサーには何も映らないまま、海面の円形の乱れに目を留める。何かが水面のすぐ下に沈んでいるように見えた。近くには原子力潜水艦USSルイビルがいたから、渦はその潜航だったのかもしれない——そうでないなら、水中の何かは高感度のソナーを逃れたことになる。
続いて到着したデビッド・フレイバー中佐も、漠然と十字のような、潜水艦よりずっと大きい乱れを見たという。降下すると、その上を白いカプセル形の物体が不規則に動いていた。ローターは無い。表面は完全に滑らかで、標識も排気も突起も無い。F-18よりやや小さく、巨大なタブレット菓子「Tic Tac」のようだった。螺旋を描いて近づくと、物体は軸を変えて上昇し、最後の急旋回のあと極超音速まで加速して数秒で消えた。見下ろすと、海面は静まっていた。
映像には、何も起きない
有名なあの映像は、この後に飛んだ別のF-18が赤外線カメラATFLIRで撮ったものだ。後席のチャド・アンダーウッド中尉が数十キロ先に目標を捉える。高度も速度も絶えず変わり、既知の物理法則に従っていなかったという。ただし遠すぎて、彼も操縦士も肉眼では何も見ていない。
映像の中では、ほとんど何も起きない。赤外線と可視光が切り替わり、ぼやけた塊が画面にいる。最後に、それが左へ消える。急加速だという人がいる。カメラがロックを失っただけかもしれない。アンダーウッド自身にも分からない。
動画が立ち止まるのは、この落差だ。文脈から切り離せば、これは特徴の無い背景の上のぼやけた塊にすぎない。注目に値するのは、周囲の証言のほうだ。1週間近く、数十人の熟練した搭乗員と乗員が複数の視点から見て、世界有数のレーダーが追った。全員が嘘をついている、全員が欺かれた——どちらも無理がある。それでも検証する手段が無い。レーダーデータも通信記録も手元に無く、言葉を信じるほかない。
11月14日の夕方、ヘリで来た2人の男が関連データを回収し、テープとハードドライブを消させたと目撃者は言う。ニミッツとプリンストン双方が同じ訪問を覚えていて、前例が無かったと口を揃える。より長く鮮明な版があったという証言もある。2007年の匿名の投稿者も4つの版を持つと書き、うち1つは2倍の長さで「より多くのUFOの動き」を示すとしていた。その版が表に出たことはない。
回転しているのは、UFOかカメラか
2本目と3本目は2015年初め、米南東岸沖。前年の夏から、空母USSセオドア・ルーズベルトの周辺で同じことが起きていた。レーダー更新後に未確認目標が拾われはじめ、当初は誤検出とされる。ある日、数十メートル間隔で並走する2機の間を何かが通り抜けた。半透明の球に包まれた立方体、と説明された。飛行隊は安全報告書を出した。
2本目の映像で目を引くのは、物体が回っているように見えることだ。ATFLIRには像の向きを保つ回転補正があり、レンズが作るアーティファクトまでは補正されない。だから回っているのはカメラとレンズグレアであって物体ではない、と検証者は説明する。もっともらしい。ただ、音声を戻すと落ち着かなくなる。画像処理の副産物なら、パイロット2人がそれと気付かないのは妙だ。グレイブスもオーコインも回っているのは物体のほうだと考え、ATFLIRの専門家も錯覚ではないと明言しているという。
3本目については、動画は逆の側に立つ。物体は周囲より冷たく、下の海のほうが熱を放っている。速く見えるのは視差だろう。海面近くだから視差では説明できないという反論も、画面の数値から高度を出せば通らない。風に漂う気球か、何かの残骸と整合する。それでも、パイロットの声だけが妙に興奮している。
誰も、それほど気にしていない
映像を公にしたのはルイス・エリゾンドで、2008年から政府出資の秘密の調査計画AATIPを率いていた。辞任の手紙には、政府内の一部がUFO研究に強硬に反対し、硬直した考えと政治的対立が仕事を妨げたと書かれている。国家安全保障の脅威になりうる問題に、政府はほとんど関心を払わない、と。
同じ鈍さを目撃者たちも感じていた。グレイブスによれば、ルーズベルト打撃群の指揮官は映像を5秒ほど眺め、何も言わずに立ち去った。ニミッツとプリンストンの上級士官の反応も似ていたという。空中衝突寸前の報告まで出ているのに、誰も動かない。偏見のせいだという説明があり、極秘のドローン計画だからだという見方もある。プリンストンの先任衛兵伍長ショーン・カヒルは、上が動かないこと自体を、それが既知の軍の装備である印と受け取った。
ソニックブームを出さずに音速を超え、数秒で任意の高度へ動き、慣性を無視して進路を変える。ありえないはずのものを、数十人の訓練された観測者が見たと言っている。最も居心地の悪くない解決は、単に彼らを信じないことだ。目撃者は信頼できるが、反論の余地が無いわけではない。
語り手は結論を出さない。証言は説得力があり、粒子の粗い3本の点の映像は物足りない。エリゾンドはこれを氷山の一角だと言う。いつか1本でいい、遠すぎるからでも小さすぎるからでもなく、説明を拒むという理由で未確認と呼べる映像が出てきてほしい——そこで映像は終わる。
視聴者の反応
「Everybody gansta till a giant flying tic tac defies gravity」
高評価 41,912
「Imagine being the aliens and freaking out that you've been recorded credibly and mass shared, only to find everyone's just roasting your craft's design」
高評価 16,336
「Imagine being the guy who risked court martial to leak this real footage to the public only for everyone to immediately ignore it.」
高評価 11,000
「Pilots in movies: “confirmed lock on target” Pilots in real life: “YOOOOOO DUDE LOOK AT IT GO HAHAHA”」
高評価 10,591
「>tic-tac shaped large white object moving erratically at impossible speeds Dear god Our universe runs on Unity」
高評価 8,175
この説をたどる
無音の白黒の点から始まった話は、レーダーの航跡、海面の渦、滑らかな白い物体、消されたテープへと伸びていく。証言のほうは鮮明で、映像だけがぼやけている。もし彼らの言うとおりなら、2004年の空には慣性を無視して動くものがいたことになる。違うなら、地球上で最も訓練された観測者が数十人まとめて、同じものを見誤ったことになる。どちらも収まりが悪い。数字や証言の裏取りがすべてそろっているわけではないが、この落ち着かなさこそが、この件の輪郭だ。決定的な一枚が出ないまま、点は今も画面の中央で揺れている。
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LEMMiNO
動画の見どころ
2007年、UFO系フォーラムに投稿された無音の白黒映像は、ドイツの映画学生のサイトに置かれていたこともあってハッタリを疑われ、信じる者ですら退屈な映像だと不満を述べた。
2004年11月、USSプリンストンのレーダーに既知の航空機に似ない航跡が5〜10個ずつ現れ、不具合を疑ってSPY-1を較正し直すと、航跡はかえって鮮明になったという。
カース中佐が見た海面の円形の乱れ。近くに原子力潜水艦USSルイビルがいたため潜航の跡かもしれないが、そうでなければ高感度ソナーを逃れたことになると整理される。
フレイバー中佐が見たという白いカプセル形の物体。ローターも排気も突起も無く、F-18よりやや小さい「Tic Tac」のようで、最後は極超音速まで加速して数秒で消えたと語られる。
映像そのものは特徴の無い背景に浮かぶぼやけた塊にすぎず、証言が語る反重力的な機動は一切写っていない——動画が置く落差の指摘。
11月14日の夕方、ヘリで来た2人の男がデータを回収し、テープとハードドライブを消去させたと目撃者は語る。ニミッツとプリンストン双方が前例の無い訪問だったと述べる。
2本目の映像の回転は、ATFLIRの回転補正が生むレンズグレアの錯覚だと検証者は説明するが、パイロット2人も専門家も回っているのは物体のほうだと述べているという。
ルーズベルト打撃群の指揮官は映像を5秒ほど眺めて何も言わずに立ち去ったとグレイブスは語る。空中衝突寸前の報告が出ていながら誰も動かない反応の鈍さ。
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