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未知の輪郭

日本語 / 医療・生命科学

性別はなぜ2つなのか 10億年前の藻とバフォメット、プラトンが残した「割られた人間」。

文=minato

多くの生き物はオスとメスに分かれている。ではなぜ、2つなのか。実はこれ、答えが出ていない。分かっていないなら都市伝説の出番だ——というのが今回の入り口になる。

3つ目の性別は、なぜ残らなかったのか

仮に性別がA・B・Cの3つあったとする。同性どうしでなければ子を作れる、という世界だ。相手の選択肢が増えるぶん、効率がよさそうに思える。ところが落とし穴がある。遺伝子の組み合わせである以上、組み合わせごとの差は必ず出る。AとBなら子が多く生まれる、AとCは生まれにくい、BとCはほぼ生まれない、といった具合に。

子孫を残すという一点で見れば、有利不利が出た時点で不利な性別は消えていく。つまり3つ目以降の性別があったとしても、淘汰された結果が今の姿なのかもしれない。4つ目でも5つ目でも、理屈は同じだ。

神話を振り返っても、光と闇、天と地、アダムとイブと、2つに分かれる組み合わせが目立つ。その一方で、どちらでもない存在や、分裂して子を産む神も出てくる。だとすれば、神話に残された男と女は、最後に残った2つの記憶が伝承になったものではないか。愛があるから2つ残ったのではなく、生き残ったのが2つだった、という順番だ。

妙なのはここからだ——なら雌雄同体でいいのでは

次の疑問はこれだ。出会うだけで子を残せるほうが、どう考えても効率がいい。実際、カタツムリやウミウシは雌雄同体だ。理由は移動距離にある。生涯で遠くまで行けない生き物にとって、一度の出会いは貴重すぎる。だから両方の性質を持つほうが子を残せる確率が上がる。

人間はその逆で、動き回って相手をある程度選べる。しかも繁殖のコストが高い。精子を作るだけでなく、卵子も作り、子宮を持ち、妊娠して、出産して、授乳して、長い時間をかけて育てる。これを全部ひとつの体に詰め込めば構造として効率が悪く、命として弱い生物になってしまう。だから雌雄同体にならなかったのではないか——というのが動画の見立てだ。

おもしろいのは、神話やオカルトの世界にはその雌雄同体がちゃんといることだ。ヤギの頭を持つバフォメット。男と女、獣と人間、光と闇という対立するものを一つにした姿として描かれる。それが悪魔の側に置かれてきたということは、人間はどこかでこの存在に一目置き、同時に距離を取ってきたのではないか。

性別は、切り替わる「役割」でもある

自然界には性別が変わる生き物がいる。クマノミは群れの中で最も大きなメスがいなくなると、次に大きなオスがメスになる。ベラやブダイは逆に、メスからオスへ変わる。性別はその個体に固定された性ではなく、命をつなぐために切り替わる役割という見方もできるわけだ。

人間がそれをできないのは、お腹の中にいる早い段階で体の作りが決まってしまうから。一度その方向に作られると、あとから変えるのがとても難しい。魚は卵を外に産んで放精する数の勝負で、マンボウは3億個ほど産んで数匹生き残ればいいほうだという。人間は一体ずつ丁寧に育てる。魚は体の中に切り替えの仕組みを残し、人間は性別を変えなくても生き残れる社会のほうを作った、という対比になる。

単為生殖じゃ、だめだったのか

そもそも一人で完結できたら最強では、という話にもなる。分裂すれば倍々で増えるし、恋愛も失恋もいらない。ただ、やばい弱点がひとつ。分裂して増えると、弱点まで同じ個体ばかりになる。有性生殖は、遺伝子を組み替えて環境の変化に耐えるためのバージョンアップなのだ、と動画は説明する。

かつて地球では単為生殖が広がったが、環境が大きく変わったことで有性生殖へ移っていったといわれる。そこに酸素という毒も加わった。生きるのに必要でありながら老化の原因でもある酸素に、耐えられる者だけが残るデスゲームが始まる。その結果として同じコピーばかりにならず、人間も犬も猫もいる多様な地球ができあがった。残ったのがオスとメスで、他の性別は酸素に適応できずに消えたのかもしれない。

そして、神話へ戻ってくる

地球で最初にオスとメスを持ったのは、恐竜でも魚でもなく2ミリほどの藻だった。カナダの北極圏の岩から見つかった約10億年前の化石で、残っている胞子には自分のコピーを作る無性のもの、オスの細胞、メスの細胞という3つのタイプがあったという。38億年を1年に置き換えれば、最初の半年はクローンだけの世界で、人類が現れるのは大晦日の午後11時20分ごろ。滑り込みもいいところだ。

インド神話には、シヴァと妃が一つの体の左右に分かれたアルダナーリーシュヴァラがいる。プラトンの『饗宴』では、昔の人間は男男・女女・男女が合わさった丸い完全な存在で、その力を恐れた神に半分へ割られた。以来、人は失われた半身を探し続けるようになった——男女の愛の起源とされる話だ。世界中の神話を見ていくと、世界の始まりに近いほど性別は曖昧になる。神話とは、生命が雌雄に分かれる前の記憶を物語として保存したものではないか

DNAで見れば、人間とチンパンジーは98.4%が一致し、道端の花とも4割が共通している。みんなLUCAという最初の生命から枝分かれした家族だ。なぜオスとメスが残ったのかは、結局のところ分からない。ただ、今の形が完成形だという保証もない。気候をコントロールできる時代が本当に来たら、単為生殖のほうがいいよね、という話にならないとも限らない。

視聴者の反応

  • バフォメットモザイクで吹いた

    高評価 88

  • ペロンとは少し違うかもですが ドミニカ共和国のサリーナス(ドミニカ共和国の村)という村には 誕生時は女の子の見た目をしていながら 思春期を迎える12歳前後になると男性に身体が変化する子供たちが一定数いるそうで 現地では「ゲヴェドース(Guevedoces)」と呼ばれているそうです

    高評価 55

  • 都市伝説が眠ってる!っていいフレーズですね!

    高評価 34

  • オンラインサロン『AREA58』開設! YouTubeでは規制かかってしまう都市伝説や陰謀論を発信していきます。 → https://lounge.dmm.com/detail/10335/index/

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  • あんまり気にしたことなかったけど確かに不思議ですね 面白いです😊

    高評価 20

この説をたどる

オスとメスが2つで落ち着いている理由を探しにいくと、話はどんどん外へ広がっていく。3つ目があったなら淘汰されたはずだ、という理屈から、動きの遅い生き物が雌雄同体である事情、群れの中で性別を切り替える魚、そして10億年前の藻の胞子へ。そこまで来たところで、神話の側が同じ形をした記憶を持っていることに気づく。両性を一つの体に収めたバフォメット、左右に分かれた神、割られた丸い人間。もし全部が同じ一本の線の上にあるのなら、私たちが恋愛の物語として読んできたものは、分かれる前の姿を覚えている誰かが残した記録だったことになる。もっとも、動画で挙げられる数字や研究の出どころまでは示されないので、そこは確かめながら聞くのがよさそうだ。

動画を見る

コヤッキースタジオ

動画の見どころ

  1. なぜ性別が2つなのかには今も答えが出ていないとして、分かっていないからこそ都市伝説的に考えてみる、と番組の枠組みが提示される。

  2. 性別が3つあると組み合わせごとに子の生まれやすさに差が出て不利な性別は淘汰されるため、3つ目以降が消えた結果が今の姿かもしれないと説明される。

  3. カタツムリやウミウシが雌雄同体なのは移動距離が短く一度の出会いが貴重だからで、動き回れる人間にはその必要がないと説明される。

  4. ヤギの頭を持つバフォメットが男と女、獣と人間、光と闇を一つにした姿として描かれ、悪魔の側に置かれてきたことに両性具有への距離の取り方が見えると語られる。

  5. クマノミは最大のメスがいなくなると最大のオスがメスになり、ベラやブダイは逆に変わるとして、性別は切り替わる役割だという見方が示される。

  6. 単為生殖は数を増やせる一方で弱点まで同じ個体ばかりになるため、有性生殖は環境の変化に耐えるためのバージョンアップなのだと説明される。

  7. 地球で最初にオスとメスを持ったのは2ミリほどの藻で、カナダ北極圏で見つかった約10億年前の化石には無性・オス・メスの3タイプの胞子が残っていたと紹介される。

  8. プラトンの『饗宴』が語る、丸い完全な存在だった人間を神が半分に割ったという話を、雌雄に分かれる前の記憶を保存した神話として読む。

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