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未知の輪郭

アメリカ / 日本

笑い話が公式見解になる日 ホワイトハウスのコロナ声明とプラトンの警告。

文=佐々木 玲

「そんな時代が来るわけない」と笑われていた話が、後になって現実味を帯びてくる。この番組が視聴者から募集したのは、まさにそういう「笑い話だったのに本当になり始めていること」でした。120件を超える投稿から、4つを取り上げます。

バズが政治を動かし始めた、という指摘

最初の投稿は、プラトンが「バズで政治を動かす先には独裁者が登場する」と警告していた、というものです。きっかけは、ひろゆき氏と、前明石市長で現職の参議院議員である泉房穂氏が新党を結成したこと。発表の投稿は3日で1800万以上閲覧され、来年の統一地方選では東京都内の11の区長選すべてに候補者を立てることを目指しているといいます。

ポイントは、ひろゆき氏本人が出馬しないと明言していることです。知名度で票を集める力と、明石市長時代に予算配分を組み換えて出生率を上げた行政のノウハウ。その二つを持つ人間が裏方に回り、候補者を送り込む作戦だと動画は読みます。

似た構図はすでにありました。2024年の兵庫県知事選ではSNSを駆使した戦略で当選した後、PR会社の社長が広報全般を任されたと明かして炎上し、公職選挙法違反の指摘が相次ぎます。2026年2月の衆院選では、与党のYouTube動画が2週間で1億3000万回再生を突破しました。1億回に36日かかった人気楽曲と比べれば速すぎる、広告費が入っているだろう——出演者はそう見つつ、断定はしません。

そしてプラトンです。『国家』には、国民が感情で政治を選ぶようになるとその先に独裁者が現れる、と書かれているといいます。不満が溜まると、大衆は政策の中身より代わりに言ってくれる人を選びがちになる。ひろゆき氏が独裁者だという意味ではないと明示したうえで、バズで選挙が変わる点は2400年前の警告に当たっている、と動画は述べました。

ホワイトハウスが載せた声明

2つ目はコロナをめぐる投稿です。数年前に同じことを言えば陰謀論者とレッテルを貼られた内容が、いま動き始めているといいます。

7月30日、ホワイトハウスの公式ページに起源に関する声明が掲載されました。ウイルスは自然界に存在しない生物学的特徴を持つと明記し、すべての症例はたった一度のヒトへの感染から始まり、複数ルートからの自然発生の形跡がないと指摘。武漢の研究所で遺伝子を改変して強化する研究が行われ、研究者が2019年秋にコロナに似た症状で体調を崩していたとも記載されています。ソーシャルディスタンスの距離に科学的根拠はなくなんとなくそうなったと某博士が公聴会で認めていたこと、マスクについても効果的に守ったという決定的な証拠はなかったことにも触れているそうです。

ここで出演者は釘を刺します。断定的に考えるのはやめてほしい、と。現職の閣僚を正義だと思っているわけではない、もしその人の側が本当の陰謀だったら皆まとめて騙されることになる。だから常に両方の意見を等しく聞いて、自分の中で答えを出すことが大事だ、と。

声明はさらに踏み込みます。38年間にわたって国立アレルギー感染症研究所の所長を務め、コロナ禍では対策の事実上の司令塔だった某博士について、都合の悪い説を潰すため論文の執筆を誘導した疑惑、側近が連邦の公文書を違法に削除していたとされること、アメリカの税金が武漢の危険な研究に流れていた可能性が指摘されているといいます。いずれも疑惑の段階です。

バイデン前大統領は退任直前の2025年1月20日、2014年から前日までの連邦法上の罪を対象とする恩赦を出しました。ただしこの恩赦は1月20日以降の行為には及びません。7月29日には、政府のパソコンに残っていた私的な業務日記が見つかったことをきっかけに、某博士が上院の公聴会へ召喚されています。

動画は自分たちの経験にも触れます。2年前に同じ話題を扱った動画は59万回再生されながら広告が付かなかった。当時「研究所から漏れた」と言っていた人たちは、投稿を削除されたりアカウントを凍結されたりしていた。声明には前政権が世界最大のSNS企業と結託して異論を検閲したとも書かれているそうです。もっとも、現政権が前政権を悪く言って株を上げようとする面もあるので100%は信じられない、ただ元になる事実はあっただろう——というのが出演者の距離の取り方でした。

1989年の漫画が描いた2030年

3つ目はSFの現実化です。攻殻機動隊は1989年の作品で、舞台は2030年の日本。脳にデバイスを直接つなぐ電脳化と、手足を機械に置き換える義体化が普及した世界が描かれます。

インターネットをまだ一部の研究者しか使っていなかった時代に、サイバー空間の犯罪が国家レベルの脅威になると描いた作品でした。警察のデータでは2025年のサイバー犯罪の検挙件数が1万58件で過去最高、特殊詐欺の被害額は約1414億円で前年からほぼ倍増、SNS型の投資詐欺やロマンス詐欺は約1827億円で過去最多です。

電脳化のほうも進んでいます。ニューラリンクの臨床試験では、麻痺のある人が思考だけでカーソルを動かし文字を入力しているといいます。イーロン・マスク氏は2030年にスマホは消えると述べていて、これは作品の舞台と同じ年です。

作品はAIが自我を持つ問題も扱っていました。2022年にはGoogleのエンジニアが会話AIに意識が芽生えているのではと訴えて騒動になり、会社は否定し、その開発者は停職処分を受けます。今年7月にはAnthropicが、自社のAIモデルの内部に考えを一時的に置いておく場所のような領域が自発的にできていたと発表しました。人が情報をいったん集めて整理するのと同じことを、気づかれないままやっていた。AIは本当にただのプログラムなのか、という問いがここで出てきます。

江戸時代の娯楽本と、幻の予言書

最後は、過去から未来を見た話です。江戸時代の大衆娯楽本には、女性が男性の格好をする、家庭料理がセットで届く、変なカタカナ語が流行する、といった未来予想がありました。スーツ、ミールキット、アジェンダ。並べてみると、確かに当たっています。

さらに、幻の予言書と呼ばれる書物も紹介されます。成立は1730年、徳川吉宗の頃とされ、約250年後にあたる1980年代以降の日本が描かれているといいます。作者は不明で、1930年にある人物が雑誌の切り抜きを手に入れたことで広まったとされる、来歴のはっきりしない書物です。

「空を飛ぶ人が現れる」「地を潜る人も出てくる」。飛行機やロケット、地下鉄と読めば当たっています。風を操る術や死者を蘇らせる術という記述については、気象を操る技術は現実にあり、蘇生のほうはさすがにないとしつつ、昔の人がAEDを見たら生き返らせたと捉えるかもしれない、と。宅配型の商売が大いに繁盛するという記述もあり、令和6年度の年間宅配便取扱個数は50億個を超えました。

今は笑い話でも、何十年か経てば常識のほうが覆っているかもしれない。いつか誰かが本物に変えてしまうロマンもある——番組はそう締めくくります。

視聴者の反応

  • コロワク打て打て言ってた奴は全く信用できない😂

    高評価 663

  • 遺伝子改変を発表した当時京都大学宮沢准教授は、大学を辞めさせられました😣💦 本当だったのだから、名誉教授として迎入れて頂きたいですね〜🎌🍀

    高評価 421

  • コロナに関しては本当に酷かった😱‼️

    高評価 258

  • フランスに逃げてる人間が日本の政治云々を語らないでほしいですね。

    高評価 213

  • ちなみにこの前のファウチの尋問の席に、ビルゲイツが召喚されるみたいです。何もかもが陰謀論じゃなくなったよね。

    高評価 176

この説をたどる

この回を貫いているのは、笑い話と公式見解のあいだにある距離です。誰かが冗談として書いたことが、数年後に政府のページへ載る。1989年の漫画が描いた電脳化が、臨床試験の映像になる。江戸時代の娯楽本の「宅配が繁盛する」が、年間50億個という数字になる。時間の幅はばらばらですが、どれも「そんなわけない」と言われた側が後から追いついてきた話です。だとすれば、いま笑われている話のどれかも同じ道をたどるのかもしれません。ただし番組自身が繰り返していたとおり、公式見解になったことと、それが正しいこととは別です。とくに健康に関わる部分は、動画で挙げられる声明も研究も出典が示されないので、確かめながら聞くのがよさそうです。

動画を見る

コヤッキースタジオ

動画の見どころ

  1. ひろゆき氏と前明石市長で現職参議院議員の泉房穂氏が新党を結成したことを受け、プラトンが「バズで政治を動かす先に独裁者が現れる」と警告していたという投稿が読み上げられる。

  2. プラトンの『国家』に、国民が感情で政治を選ぶようになるとその先に独裁者が現れると書かれているとして、不満が溜まると政策より代弁者を選びがちになる仕組みが説明される。

  3. 7月30日にホワイトハウスの公式ページへ掲載された声明が、ウイルスは自然界に存在しない生物学的特徴を持ち、すべての症例が一度のヒト感染から始まったと明記していると紹介される。

  4. ソーシャルディスタンスの距離に科学的根拠はなくなんとなくそうなったと某博士が公聴会で認めていたこと、マスクにも決定的な証拠はなかったと声明が述べていると紹介される。

  5. 出演者が「断定的に思うのはやめてほしい」と釘を刺し、現職の閣僚を正義とも思っていないとして、常に両方の意見を等しく聞いて自分で答えを出すことが大事だと述べる。

  6. 声明では某博士が都合の悪い説を潰すため論文の執筆を誘導した疑惑、側近による公文書の違法削除、税金が武漢の研究へ流れていた可能性が指摘されているとされる。

  7. 1989年の攻殻機動隊が描いた電脳化に対し、ニューラリンクの臨床試験では麻痺のある人が思考だけでカーソルを動かし文字を入力していると紹介される。

  8. 1730年の徳川吉宗の頃に成立し約250年後の日本を描いたとされる幻の予言書が、作者不明で1930年の雑誌の切り抜きから広まった来歴とともに紹介される。

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